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NHKスペシャル 失われた時をこえて ~“認知症家族”の3年~のまとめ 2023年6月10日

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コロナ禍、施設や病院では感染拡大を防ぐため、面会を制限、家族同士の直接の触れあいが絶たれたまま時間を重ねることとなった。大きな影響を受けたのが認知症の家族だ。
これまで、周囲の人々は、認知症の進行を少しずつ受け入れながら時を重ね、それぞれの家族の形を築いてきた。
その時間が失われたとき、家族は何を思い、どのように最後の時を刻もうとするのか。
大阪で暮らす認知症の妻とそのもとに通い続ける夫の3年間の記録。

今回はNHKスペシャル 失われた時をこえて ~“認知症家族”の3年~の紹介です。
コロナ対応が始まり3年、面会制限は施設に入居している人だけではなく、その家族にとても大きな影響を与えました。
施設勤務者として、とても参考になる内容となっています。

NHKスペシャル 失われた時をこえて ~“認知症家族”の3年~のあらすじ

ケース 妻が認知症になった吉田夫婦の話


夫は牧師、妻はその夫を支え生活してきました。

感染を防ぐため、面会制限された3年間
面会ができず、妻の症状の進行を受け止められない葛藤と苦悩

家族が認知症になった時、時間をかけて変化を受け入れていく
しかし、コロナは受容の時間を奪った
この時期、施設を責める人もいましたが、施設側も政府の方針に従い行ってきたことです。

2020年6月 毎日面会していたが、コロナ流行になり、四ヶ月も面会できなくなりました。
自宅介護の頃
介護しつつ、妻の変化を受け入れてきました。

施設に入居し、毎日面会をしてきましたが、夫を認識することができないことも増えていく。
合わない間に妻の病状が急に進行しないだろうか
面会可能になった時、まだおとうさんと呼べるだろうか

不安と苛立ちが広がっていく・・・

妻が自宅で生活をしてきた頃のメモには、おとうさんを忘れたらあかん、必死さが伝わってきました。
何度も同じことを言ってしまうたみこさん
そんなたみこさんに耐えられず、逃げ出してしまったこともありました。

ですが、個人的には家族が認知症状が出てきた時、距離感は非常に大切です。
一緒に生活をする際、大切なことは支えないなのですが、認知症状が出てくると難しくなるからです。

 

感染対応が緩和され、同じ部屋で10分の面会が可能になりました。
ですが食事摂取量は低下、歩くことができなくなってきています。
ただ面会の際は、笑顔で会話ができ、笑いかけてくれることもある、大切な時間を一緒に過ごすことができるようになりました。

認知症後期の進行と面会制限による制限、納得することは難しいのです。

最終的には自分を覚えていてほしいのはわがままではないか
ありのままを受け入れることが大切
ただ横いいる事はとても大切

吉田さんはSNSに書き込みを続け、多数の共感を得ていきました。

長いコロナによる面会制限で、見えない施設の役割が消失していた

特別養護老人ホームをはじめとする介護施設には様々な役割があります。
例えば
・一人では生活できなくなった人の支援
・その人にとっての新しい生活の場の提供
・介護による家族負担の軽減
・家族にとって新しい向き合い方を考えること

これらの役割を施設が果たすことで、次のようなメリットを得られるようになります。

・ひとり暮らしの人にとっては安心できる生活
・介護家族にとっては負担からの開放と気持ちの余裕
・新しい向き合い方を考える

特に介護をしてきた家族の負担軽減は大切なポイントです。


気持ちに余裕を持つことができるようになりますので、親兄弟への関わりが柔らかくなります。
強いストレス化に置かれた場合、人間は優しくすることはできません。
もしそれができる人がいたとしたら、それは精神的にどこか不調をきたしている、そんな事実に向き合っていない、そんなことは珍しくありません。

 

人間はいつか必ず死にます。
その人が死に向かっていく、その事実に向き合っていくには時間が必要です。
例えば特養の場合は平均的な入居期間は5年ほどとされており、その間に衰えていく家族を見て気持ちの整理もしていくことになります。
その間面会は自由にできますので、衰えを実感し、いままで一緒に生活をしてきた人がいなくなる事実を消化していくのです。

ですがコロナの影響で面会制限になり、長い期間会うことができなくなることになりました。
認知症状がある人にとって、覚えておくことができる時間は短く、長く支えてくれた人でも誰かわからなくなってしまいます。
母親を何年もお世話してきたあと施設に入所、忙しく一週間くらい面会にこられず、行くとあんた誰?
その悲しみは想像に耐えません。

それでも何度か面会を繰り返すことで、思い出したりするのですが、面会制限により会えない期間が強制的に長くなりました。
衰えへの衝撃に対する順応する期間も短くなり、ショックは大きくなってしまいます。

何ヶ月も会えなくなる、面会制限はそんな家族の向き合う時間をゴリゴリ削り、施設の本来持っていた入居者家族の精神的なケアの時間をなくしてしまったのです。

コロナ対応中の施設の現実

大阪での調査によると
・ほぼ全ての施設で面会制限
・面会は同じ空間で会えない面会が137/252施設
・長い面会制限により、認知症に影響があったと思う、そう答えた施設は54%

「家族の関わりが減ったことから、生活のメリハリが失われ日にちや時間がわからなくなった」
「限られた人とのコミュニケーションしかとれず、刺激がほとんどない生活で表情などが乏しくなっていた」

認知機能の低下や気持ちの変化を感じた声が多数
施設で介護をしていますが、隔離生活も長くなり、利用者間のコミュニケーションも取りにくくなりました。
意欲は少しずつ低下、行動力も低下、できないことは増えてきます。
その結果、ADLは著しく低下していきました。
イノチが大事、それは当たり前なのですが、その前に生きていける、能力を維持できる時間自体が、施設入居者には非常に少ないのです。

まとめ

感染対応が緩和 窓越しの面会からアクリル板ごしの面会へ変更
同じ空間で過ごすことができるようになり、対応も大きく変わりました。
今後は緩和により、元の生活に戻っていくと思われます。
元々面会自体も少ない家族も多いのですが、コロナでは会う機会すら奪われていました。

 

会えないのは普通になり、感情が動かなくなっていきます。
通常なら母の日や誕生日、節目の時に会いにいくものですが、いかない理由ができると行かないが普通になってしまうんですよね。
自分たちの生活がありますから・・・
対応が緩和され、また入居家族との関係性を作ろうとする人も出てきました。

ですが一方そのつらさに向き合わず、自分の生活を大切にしていく人もいます。

3年もの間、妻と向き合った吉田さんは珍しいのかもしれません。

 

ですが、SNSでの発信を通じ、自分にとって良い面会出会ってほしい、そういった思いは親にとって求めすぎではないか、そう感じる人もいました。

認知症になった家族への向き合い方、新しく考え直す良い影響力となったようです。


どちらが正解とも言えませんが、やはり会えるようになることは大切、そう感じる番組でした。